「60坪の家の葺き替え工事、費用は200万円以上かかるの?」
「相場より高い見積もりを出されていないか不安…」
「この広さの葺き替え工事、どうすれば費用を抑えられるんだろう」
60坪という広い住宅の屋根葺き替え工事を検討する際、このような不安を抱える方は少なくありません。特に初めての工事では、相場観がつかめず判断に迷うものです。
60坪の屋根葺き替え工事では、一般的に200万円前後の費用が必要となります。
ただし、この金額は屋根材の種類や建物の状態によって大きく変動するため、正しい知識を持っていないと必要以上の出費を強いられる可能性があるでしょう。
この記事では、60坪の屋根葺き替え工事における具体的な費用相場や価格変動の要因、費用を抑えるための方法まで詳しく解説します。
工事をご検討中の方に役立つ情報を、実例を交えながらお伝えしていきます。
この記事のポイント
- 60坪の葺き替え費用相場は150〜280万円
- 工事費用は屋根の形や築年数で変わる
- 補助金や外壁同時施工で費用を抑えられることも

屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。
60坪の屋根葺き替え工事の費用相場
60坪の屋根葺き替え工事では、既存の屋根材と新しく設置する屋根材の組み合わせによって費用が大きく変動します。
屋根葺き替えの費用は基本的に「屋根面積」×「各単価」で計算され、60坪規模の住宅では150〜280万円が一般的な相場となります。
適切な屋根材を選択することで、長期的な視点での費用対効果を高めることが可能です。
瓦からの葺き替え費用
60坪の瓦屋根からの葺き替え工事は、撤去費用が高額になるため、全体の工事費用も高くなる傾向にあります。瓦は重量があり処分にも費用がかかるためです。
既存屋根材 | 新規屋根材 | 費用相場 |
---|---|---|
瓦 | スレート | 180~230万円 |
瓦 | ガルバリウム鋼板 | 200~250万円 |
瓦屋根の撤去では1平方メートルあたり3,000円ほどの費用がかかり、さらに処分費用も必要です。
60坪の建物では屋根面積が120〜130平方メートルほどになるため、撤去・処分だけでも相当な金額となるでしょう。
瓦屋根葺き替え工事の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

スレートからの葺き替え費用
スレート屋根からの葺き替えは、瓦と比較すると撤去・処分費用を抑えられます。
ただし、2004年以前に施工されたスレート材はアスベスト含有の可能性があり、その場合は特殊な処理が必要となります。
既存屋根材 | 新規屋根材 | 費用相場 |
---|---|---|
スレート(アスベストなし) | スレート | 150~200万円 |
スレート(アスベストなし) | ガルバリウム鋼板 | 170~220万円 |
スレート(アスベスト含有) | ガルバリウム鋼板 | 200~250万円 |
アスベスト含有が確認された場合、撤去・処分費用は通常の1.5〜2倍になり、60坪規模では40〜60万円ほどの追加費用が見込まれます。
正確な判断のため、施工前のアスベスト調査は必須です。
スレート屋根葺き替え工事の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

トタンからの葺き替え費用
トタン屋根からの葺き替えは、比較的撤去が容易で処分費用も抑えられるため、他の材質からの葺き替えと比べて総費用を抑えられる傾向にあります。
既存屋根材 | 新規屋根材 | 費用相場 |
---|---|---|
トタン | ガルバリウム鋼板 | 160~220万円 |
トタン | スレート | 150~210万円 |
トタン屋根は経年劣化でサビが発生していることが多く、雨漏りのリスクも高いため、早めの葺き替えが推奨されます。
金属屋根の特性を活かせるガルバリウム鋼板への葺き替えが人気の選択肢となっているのが現状です。
屋根葺き替え工事の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

60坪の屋根面積の計算方法
屋根葺き替え工事の費用を正確に把握するためには、屋根面積の正確な計算が不可欠です。60坪の住宅の場合、建物の構造や形状によって実際の屋根面積は大きく変動します。ここでは具体的な計算方法を解説します。
正確な屋根面積の把握は、適切な予算計画を立てる上で極めて重要な要素となるでしょう。
基本面積の算出手順
屋根の基本面積を算出するには、まず建物の縦横の寸法を確認する必要があります。60坪(約198㎡)の住宅では、一般的に縦13m×横7.6mほどの広さとなります。
計算の第一歩は建物の平面図を確認することです。図面がない場合は、実測によって正確な寸法を把握しましょう。この基本寸法に「軒の出」と呼ばれる、外壁から屋根が張り出している部分の長さを加える必要があります。
一般的な軒の出は45cmほどで、建物の両側に加算します。
例えば60坪の住宅であれば「13m+0.45m+0.45m=13.9m」「7.6m+0.45m+0.45m=8.5m」となり、これを掛け合わせると平面積は約118.15㎡となります。この数値が、屋根の基本面積の計算の土台となるのです。
屋根勾配による補正方法
屋根面積の計算で見落としがちなのが勾配の影響です。屋根は平面ではなく傾斜しているため、実際の表面積は平面積よりも大きくなります。この補正には「勾配係数」を使用します。
屋根勾配は通常「寸勾配」で表現され、日本の住宅では4寸勾配(約22度)が一般的です。勾配によって係数は以下のように変わります。
勾配 | 勾配係数 |
---|---|
3寸勾配 | 1.044 |
4寸勾配 | 1.077 |
5寸勾配 | 1.118 |
6寸勾配 | 1.166 |
例えば60坪の住宅で平面積が118.15㎡、4寸勾配の場合、実際の屋根面積は118.15㎡×1.077=約127.25㎡となります。この数値が、葺き替え工事の費用計算の基準となる実際の屋根面積です。
下屋による面積変動
実際の住宅では、単純な形状ばかりではありません。特に注意が必要なのが「下屋」と呼ばれる一階部分の屋根です。下屋がある場合、屋根の総面積は単純計算より大きくなります。
下屋は玄関ポーチやバルコニーの屋根、一階部分のみの張り出し部分などに存在し、これらの面積を別途計算して加算する必要があります。60坪の住宅では下屋の有無によって総屋根面積が20〜30㎡ほど変動することも珍しくありません。
また、建物の階数によっても屋根面積は変わります。同じ60坪でも、2階建てと3階建てでは形状が異なります。3階建ては縦に高く、屋根面積は相対的に小さくなる傾向にあるでしょう。
ただし、足場の高さが増すため工事費用の大幅な減額には繋がらないことも覚えておくべきです。
60坪の屋根葺き替え工事内訳
60坪規模の屋根葺き替え工事では、さまざまな工程と材料が必要となります。費用が適正かどうかを判断するためには、見積書の内訳を理解することが重要です。ここでは一般的な工事内訳と単価について解説します。
工事項目 | 単価(1㎡あたり) |
---|---|
既存屋根材の撤去費 | 1,500~3,000円 |
廃材処分費 | 1,500~3,000円 |
新規屋根材(瓦) | 8,000~12,000円 |
新規屋根材(スレート) | 5,000~8,000円 |
新規屋根材(ガルバリウム鋼板) | 6,500~9,000円 |
下地補修費用 | 2,500~3,500円 |
防水シート施工費 | 500~1,500円 |
足場費用 | 900~1,500円 |
これらの費用に加えて、諸経費として工事総額の10%程度が別途必要です。
60坪の住宅の場合、屋根面積は約120〜130㎡となります。この面積に各単価を掛けることで、おおよその費用を計算することが可能です。
なお、下地の状態や建物の形状によって費用は変動します。特に築年数が長い建物では、下地の劣化が見つかり、予定外の補修費用が発生することも少なくありません。
そのため、見積もり金額の15〜20%程度は予備費として確保しておくことをおすすめします。実際の工事依頼では、これらの単価を参考に見積書の妥当性を判断するとよいでしょう。
葺き替え費用が増加する要因
60坪の住宅であっても、屋根葺き替え工事の費用は様々な要因によって変動します。
特に下記の3つの要素が費用に大きな影響を与えるため、事前に把握しておくことが重要です。
これらの要因を理解することで、予算計画をより現実的に立てることができるでしょう。
要因1:屋根形状による影響
屋根形状は葺き替え工事の費用に大きく影響します。最もシンプルな切妻屋根と比較して、寄棟屋根や入母屋屋根などの複雑な形状の場合、工事費用は15~20%ほど上昇する傾向にあります。
特に60坪という広い住宅では、屋根の形状が複雑になりやすく、谷樋や棟の数が増えることで施工難易度が上がります。谷樋部分は雨水が集中するため、特に丁寧な防水処理が必要となり、その分費用も高くなるのです。
また、屋根勾配も重要な要素です。一般的な4寸勾配(約22度)より急な勾配の場合、作業効率が低下し、足場の補強など安全対策の強化も必要となります。6寸勾配以上の急勾配では、標準的な工事費用から15~20%程度の追加費用が発生することも珍しくありません。
要因2:築年数による影響
築年数が長い建物ほど、屋根下地の劣化が進行している可能性が高くなります。特に築25年以上の60坪規模の住宅では、広範囲にわたる野地板の腐食や垂木の劣化が見られることが多いでしょう。
下地の全面的な補修や交換が必要となった場合、標準的な下地補修費用の1平方メートルあたり2,500~3,500円が、120~130平方メートルの広い面積に適用されるため、追加で30~45万円程度の費用増加となることがあります。
さらに古い建物では、防水シートが未施工であったり、劣化が進んでいたりするケースも多く、新規の防水対策も必要となります。工事の開始後に初めて下地の状態が判明することも少なくないため、予算計画時には15~20%程度の予備費を見込んでおくことが賢明でしょう。
屋根の耐用年数と葺き替えタイミングについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

要因3:アスベスト処理の影響
2004年以前に施工されたスレート屋根には、アスベストが含有されている可能性があります。60坪という広い住宅のスレート屋根をアスベスト対応で撤去する場合、費用は通常の1.5~2倍に跳ね上がることがあります。
通常のスレート撤去費用が1平方メートルあたり約3,000円であるのに対し、アスベスト含有材の場合は5,000~6,000円に上昇します。60坪の住宅では屋根面積が120~130平方メートルほどになるため、アスベスト処理だけで追加で60~90万円の費用が発生する計算です。
さらに、アスベスト飛散防止のための養生や作業員の安全装備、特殊な処分方法など、様々な対策が必要となるため、工期も通常より長くなる点も考慮すべきでしょう。建築年代の確認と事前のアスベスト調査は、予算計画の重要なステップとなります。
屋根葺き替え工事の費用や工期について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

屋根葺き替え費用を抑える方法
60坪という広い住宅の屋根葺き替え工事では、費用が高額になりがちです。しかし、適切な方法を知っていれば、工事費用を効果的に抑えることが可能です。ここでは費用を抑えるための具体的な方法を紹介します。
これらの方法を適切に活用することで、高額な工事費用の負担を軽減できるでしょう。
補助金・火災保険の活用
屋根葺き替え工事の費用負担を軽減する最も効果的な方法の一つが、補助金や火災保険の活用です。
まず、屋根の葺き替えに使える補助金には「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や省エネリフォームなどがあります。
これらの制度では、工事費用の一部が補助され、断熱性能の向上や耐震性強化を伴う葺き替え工事の場合、最大で工事費の20%(上限100万円程度)の補助が受けられることもあります。
また、台風や雹(ひょう)などの自然災害で屋根が損傷している場合、火災保険の風災・雹災・雪災特約が適用できる可能性があります。
保険適用の場合、免責金額(自己負担額)を除いた修理費用が支払われるため、大幅な費用削減につながるでしょう。
補助金や保険を活用する際は、工事前の申請や調査が必要なケースがほとんどです。早めの情報収集と手続きが重要となります。
屋根工事で適用できる火災保険や補助金について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。


複数社から相見積もりを取る
同じ工事内容でも、業者によって見積金額に大きな差が生じることはよくあります。60坪という広い住宅の葺き替え工事では、その差額は数十万円に及ぶことも珍しくありません。
理想的には最低でも3社以上から相見積もりを取得し、工事内容や使用材料、価格を比較検討することをおすすめします。
見積もりの比較では、単なる総額だけでなく、内訳の詳細も重要です。特に「一式」という曖昧な表記ではなく、「〇〇円/㎡」といった単価表示があるかどうかをチェックしましょう。
また、相見積もりは価格交渉の材料としても活用できます。他社の見積もりを提示することで、工事内容はそのままに価格を下げてもらえるケースもあります。
ただし、あまりに安価な見積もりには注意が必要です。材料の品質低下や工事の手抜きにつながる可能性があるためです。
屋根葺き替えの見積書の見方や確認するべきポイントついて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

外壁塗装とセットで工事する
屋根葺き替え工事と外壁塗装工事を同時に行うことで、足場代を一度で済ませることができます。
60坪の住宅では足場設置費用が25〜35万円程度かかるため、この費用を節約できる効果は大きいでしょう。
また、まとめて工事を発注することで、諸経費の削減や工事費用の値引きも期待できます。実際に両方の工事を同時に依頼すると、それぞれを別々に発注するよりも10〜15%程度安くなるケースが多いです。
さらに、屋根と外壁は建物の外装として一体的な役割を果たしているため、同時期にリフォームすることで外観の統一感が生まれるメリットもあります。
屋根と外壁の取り合い部分の防水処理も同時にできるため、工事の品質向上にもつながるでしょう。
屋根葺き替え工事はトベシンホームにご相談ください

項目 | 詳細 |
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会社名 | FCR株式会社(トベシンホーム) |
本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 Googleマップ |
電話番号 | 0120-685-126 |
営業時間 | 8:00〜20:00 年中無休 |
トベシンホームは、60坪規模の大型住宅の屋根葺き替え工事にも確かな技術で対応する外装リフォーム専門店です。
関東圏を中心に数多くの施工実績を重ね、特に大規模住宅の複雑な屋根形状にも精通しています。
当社の強みは、地域の特性を熟知した専門スタッフによる、調査から施工、アフターフォローまでの一貫体制にあります。
60坪という広い屋根面積でも、的確な調査と適切な工法選定により、耐久性と経済性を両立した施工を実現します。
また、高額になりがちな大型住宅の葺き替え工事では、補助金や火災保険の活用が重要です。トベシンホームでは申請手続きから保険会社との交渉まで、お客様の費用負担を軽減するためのサポートも充実しています。
屋根の状態診断から最適な葺き替え工法のご提案まで、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
60坪の屋根葺き替え工事は、一般的に150〜280万円が費用相場です。既存屋根材と新規屋根材の組み合わせによって費用は大きく変動し、瓦からの葺き替えが最も高額になる傾向があります。
屋根面積の計算では、建物の基本寸法に軒の出を加え、さらに勾配係数を掛けることで正確な面積が算出できます。60坪の住宅では約120〜130㎡の屋根面積となるケースが多いでしょう。
費用増加の主な要因は屋根形状の複雑さ、築年数による下地劣化、アスベスト処理の必要性です。特にアスベスト処理が必要な場合は、60〜90万円の追加費用が発生する可能性があります。
費用を抑えるには、補助金や火災保険の活用、複数社からの相見積もり取得、外壁工事との同時施工が効果的です。特に足場代の節約効果は大きく、外壁との同時工事で25〜35万円の費用削減が見込めます。
適切な知識と準備を整えることで、高品質な葺き替え工事を適正価格で実現できるでしょう。