「葺き替え工事とカバー工法、どちらを選べばいいんだろう」
「工事費用の相場はどのくらい違うのかな」
「我が家の屋根にはどちらが適しているのか知りたい」
屋根工事を検討する際、このような悩みを抱える方は少なくありません。特に築20年以上が経過した建物では、屋根の劣化対策として様々な工法を提案されることも多いものです。
葺き替え工事とカバー工法では、工事費用が大きく異なるだけでなく、工期や耐久性にも違いがあります。
しかし、費用の安さだけで判断すると、建物の状態によっては将来的に大きな問題を引き起こす可能性があるでしょう。
この記事では、葺き替え工事とカバー工法の違いから、それぞれの特徴や費用相場、建物に合った工法の選び方まで詳しく解説します。
建物の状態や予算に応じた最適な工法を選ぶことで、長期的な視点での費用対効果も期待できます。工事を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 葺き替えとカバー工法では工事方法、工期、費用が違う
- カバー工法は工期短縮で費用を抑えられる
- 現在の屋根材で工法選択は変わる

屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。
屋根葺き替えとカバー工法の違い
屋根工事には、既存の屋根を全て撤去して新しく葺き替える方法と、現在の屋根の上から新しい屋根材を被せるカバー工法があります。
建物の状態や予算によって、最適な工事方法は異なるでしょう。以下では、両工法の違いについて詳しく解説していきます。
それぞれの特徴を理解することで、建物に適した工法を選択することが可能です。
工事方法の比較
葺き替え工事とカバー工法では、工事の進め方が大きく異なります。葺き替え工事は既存の屋根材を完全に撤去し、下地から新しく施工する方法です。
一方のカバー工法は、現在の屋根の上から防水シートと新しい屋根材を重ねていく工法となります。
項目 | 葺き替え工事 | カバー工法 |
---|---|---|
既存屋根 | 完全撤去 | そのまま利用 |
下地工事 | 必要に応じて補修・交換 | 基本的に不要 |
新規屋根材 | 下地から新規施工 | 既存屋根の上から重ねて施工 |
工事範囲 | 基本的に全面改修 | 部分的な修繕も可能 |
葺き替え工事では下地の状態まで確認できるため、腐食や劣化の程度を正確に把握することが可能です。
反対に、カバー工法は既存の屋根を活かすため、施工がスムーズに進められる利点があるでしょう。
工期の比較
工期は建物の規模や屋根の形状によって変動しますが、一般的な30坪程度の住宅では明確な違いが見られます。
葺き替え工事は既存屋根の撤去から新設まで、通常10〜20日程度の期間が必要となります。
項目 | 葺き替え工事 | カバー工法 |
---|---|---|
標準工期 | 10〜20日 | 7〜12日 |
天候の影響 | 大きい | 比較的小さい |
生活への影響 | 騒音・振動あり | 比較的少ない |
近隣への影響 | 粉塵・廃材あり | 最小限 |
カバー工法は既存屋根の撤去作業が不要なため、工期を大幅に短縮することが可能です。天候不順による工事の中断リスクも低く、計画的な施工が期待できるでしょう。
屋根工事の期間や工程について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

費用の比較
工事費用は、建物の条件や選択する屋根材によって変動します。一般的な30坪程度の住宅における標準的な費用を比較すると、以下のような違いが見られます。
項目 | 葺き替え工事 | カバー工法 |
---|---|---|
標準費用(30坪) | 150〜200万円 | 100〜150万円 |
廃材処理費 | 20〜30万円 | 少額 |
追加費用の可能性 | アスベスト処理費用 | 下地補強費用 |
足場代 | 15〜20万円 | 15〜20万円 |
葺き替え工事は既存屋根の撤去と廃材処理が必要なため、総じて高額となります。特に2004年以前のスレート屋根ではアスベスト処理費用が加算される可能性があるでしょう。
一方のカバー工法は、これらの費用が不要となるため、全体的に工事費用を抑えることが可能です。
屋根工事の種類別の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

屋根葺き替え工事とは?

屋根葺き替え工事は、既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に交換する大規模なリフォーム工事です。下地の状態を確認しながら、建物を新築時の状態に近づけることができます。
以下では工事の具体的な特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
建物の状態をしっかりと確認しながら、最適な屋根材を選択することが可能です。
屋根葺き替え工事の特徴
葺き替え工事の最大の特徴は、屋根を構成するすべての部材を新しくできる点です。
まず足場を設置し、既存の屋根材を完全に撤去します。その後、野地板の状態を確認し、必要に応じて補修や交換を行います。
防水シートを新しく敷設し、選択した屋根材を一枚一枚丁寧に施工していくのです。棟板金や軒先など、細部の仕上げ工事も入念に行われます。
全工程の所要期間は建物の状態により異なりますが、一般的な戸建て住宅で10〜20日程度となるでしょう。大規模な補修が必要な場合や天候不良が続く際は、工期が延びることもあります。
屋根葺き替え工事のメリット
葺き替え工事では、建物の耐久性と資産価値を大きく向上させることが可能です。下地材から新しくすることで、雨漏りのリスクを最小限に抑えられる点が最大のメリットといえるでしょう。
また、重い瓦屋根から軽量な金属屋根材への変更など、建物の耐震性を高める工事も選択できます。現代の高性能な屋根材を使用することで、断熱性や耐候性も向上します。
適切な施工と定期的なメンテナンスを行えば、30〜40年という長期にわたって安心して使用することが可能です。将来的な売却も視野に入れた場合、建物の価値を維持する重要な投資となるでしょう。
屋根葺き替え工事のデメリット
葺き替え工事の最大のデメリットは、工事費用の高さです。一般的な30坪の住宅で150〜200万円程度、築年数が古く下地材の交換が必要な場合は200万円を超えることも珍しくありません。
また、工事中は騒音や振動、粉塵が発生するため、近隣への配慮が欠かせないでしょう。既存の屋根材を撤去する際、特に大きな音や粉塵が発生します。
天候に左右されやすい工事のため、予定通りに完了しないケースもあります。工事中は屋根が完全に開放されるため、急な雨での中断により雨漏りのリスクも伴うのです。事前の天候確認と十分な養生が重要となります。
屋根の葺き替え工事について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

屋根カバー工法とは?

屋根カバー工法は、既存の屋根材を残したまま、その上から新しい屋根材を重ねて施工する工法です。短期間で工事を完了できる利点から、近年注目を集めています。
以下ではカバー工法の詳細な特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
建物の条件によっては、費用対効果の高い選択肢となるでしょう。
屋根カバー工法の特徴
カバー工法は主にスレート屋根やカラーベストと呼ばれるコロニアル屋根に対して行われる工法です。まず棟板金や雪止めなどの付属部材を取り外し、屋根全体の清掃を実施します。
その後、既存の屋根の上からルーフィング(防水シート)を敷き、新しい屋根材を設置していきます。最後に棟板金や雨樋などの付属部材を取り付けて完了となります。
一般的な工事期間は7〜12日程度と短く、葺き替え工事の半分程度で完了することが可能です。既存の屋根材を撤去しないため、工事中の騒音や粉塵も最小限に抑えられるでしょう。
屋根カバー工法のメリット
カバー工法の最大のメリットは、工事費用を抑えられる点です。
葺き替え工事と比較すると、30〜40%ほど費用を削減することが可能です。特に2004年以前のスレート屋根では、アスベスト処理費用が不要となるため、大きな違いが生まれます。
また、二重構造となることで断熱性や遮音性が向上するのも特徴的です。夏場の小屋裏の温度上昇を抑制し、冬場の熱損失も低減できます。
さらに金属屋根材を使用する場合は、雨音の軽減効果も期待できるでしょう。
工期が短いため、生活への影響も最小限に抑えられます。近隣への配慮が必要な住宅密集地でも、比較的スムーズに工事を進めることが可能です。
屋根カバー工法のデメリット
カバー工法の最大の課題は、既存の屋根材をそのまま活かすため、下地の状態を確認できない点です。
特に雨漏りの痕跡がある場合、その原因を特定し適切な補修を行わないまま新しい屋根材を重ねると、問題が深刻化する恐れがあります。
また、二重構造となることで建物への負荷が増加します。一般的な金属屋根材を使用した場合、1㎡あたり約3〜5kg程度の重量が追加されます。築年数が古い建物や耐震性に不安がある場合は、注意が必要でしょう。
使用できる屋根材も限定的です。重量制限の関係上、軽量な金属系の材料しか選択できません。和瓦など重い屋根材への変更は不可能となり、デザインの選択肢も比較的限られます。
屋根のカバー工法について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

適切な工法を選ぶ3つのポイント
屋根工事では、建物の状態や予算に応じて最適な工法を選択することが重要です。間違った工法を選択すると、将来的な問題や予想外の出費を招く可能性があるでしょう。
以下では、適切な工法を選ぶための3つのポイントについて解説していきます。
これらのポイントを総合的に判断することで、最適な工法を選択することが可能です。
ポイント1:現在の屋根材からの判断
屋根材の種類によって、選択できる工法は大きく異なります。スレート屋根やカラーベストなど、平らな屋根材の場合は葺き替えとカバー工法の両方が選択可能です。
一方、和瓦や洋瓦などの陶器製屋根材では、カバー工法は適していません。
屋根材の種類 | 葺き替え工事 | カバー工法 |
---|---|---|
スレート | 可能 | 可能 |
金属屋根 | 可能 | 可能 |
和瓦・洋瓦 | 可能 | 不可 |
瓦棒葺き | 可能 | 不可 |
特に和瓦屋根の場合、表面の凹凸や重量の問題から、カバー工法での施工は現実的ではありません。建物の構造上、葺き替え工事を選択するのが一般的です。
ポイント2:建物状態からの判断
建物の状態は工法選択の重要な判断材料となります。築年数20年以下で雨漏りなどの問題がない場合は、カバー工法による改修も十分検討できるでしょう。
しかし、既に雨漏りが発生している場合や下地の腐食が疑われる場合は、葺き替え工事が望ましいといえます。
建物の耐震性も重要な要素です。カバー工法では屋根の総重量が増加するため、築年数が古く耐震性に不安がある建物では、葺き替え工事を選択したほうが安全です。
場合によっては、重い瓦屋根から軽量な金属屋根材への変更で、建物の耐震性を高めることも可能となります。
ポイント3:予算からの判断
予算面では、カバー工法のほうが一般的に費用を抑えられます。しかし、単純に初期費用だけでなく、長期的な視点での判断が重要です。
項目 | 葺き替え工事 | カバー工法 |
---|---|---|
初期費用(30坪) | 150〜200万円 | 100〜150万円 |
耐用年数 | 30〜40年 | 20〜25年 |
維持費 | 10年目以降に点検・補修 | 5年目以降に点検・補修 |
カバー工法は初期費用を抑えられますが、耐用年数は葺き替え工事より短くなります。
そのため、長期居住を予定している場合は、初期費用が高くても葺き替え工事を選択するほうが経済的となる可能性があるでしょう。
失敗しない屋根工事業者の選び方
屋根工事の成功は、信頼できる業者選びにかかっています。適切な業者を選ぶことで、工事の品質を確保し、将来的なトラブルを防ぐことが可能です。
以下では、失敗しない業者選びのポイントについて解説していきます。
これらのポイントを押さえることで、安心して工事を依頼できる業者を見つけることが可能です。
選び方1:実績と経験が豊富な業者を選ぶ
信頼できる業者の第一条件は、豊富な施工実績を持っていることです。特に地域密着型の業者は、その地域特有の気候や環境に関する深い知見を持っているため、適切な提案が期待できるでしょう。
過去3年以内の施工実績が10件以上あることを一つの目安とし、可能であれば実際の施工現場や完工物件の見学を依頼することをおすすめします。また、職人の技術力や施工体制についても確認が必要です。
緊急時の対応も重要な判断材料となります。突発的な不具合や災害時の補修依頼にすぐに対応できる体制が整っているかどうかも、事前に確認しておくべきでしょう。
屋根工事業者の選び方や探す手順について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

選び方2:見積書の内容を詳しく確認する
適切な見積書には、使用する材料や工事の内容が詳細に記載されているものです。材料はメーカー名や商品名まで明記され、工事の範囲や施工方法も具体的に示されている必要があるでしょう。
注目するべきは、追加費用が発生する可能性のある項目の明記です。下地材の状態によって必要となる補修費用や、工期の延長による追加費用などについても、事前に説明がある業者を選びましょう。
見積書は必ず複数の業者から取得し、内容を比較検討することが重要です。極端に安価な見積もりには、粗悪な材料の使用や手抜き工事の可能性が潜んでいる場合もあるため、注意が必要です。
屋根工事の見積もりポイントや相見積もりのコツについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

選び方3:保証内容をしっかり比較する
工事後の保証内容は、業者によって大きく異なります。一般的には10〜15年の保証が付きますが、その保証範囲や条件は様々となっているでしょう。
重要なのは、雨漏りなどの不具合が発生した際の対応方針です。また、定期点検の有無や補修時の費用負担についても確認が必要です。保証書の内容は必ず書面で残し、しっかりと保管しておくことが重要となります。
施工後のメンテナンスサポート体制も重要な判断材料です。1年に1回以上の無料点検や24時間対応の緊急連絡窓口の設置など、充実したアフターフォローがある業者を選びましょう。
屋根工事で迷ったら?まずはトベシンホームへご相談ください

項目 | 詳細 |
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会社名 | FCR株式会社(トベシンホーム) |
本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 Googleマップ |
電話番号 | 0120-685-126 |
営業時間 | 8:00〜20:00 年中無休 |
トベシンホームは、千葉県・埼玉県・茨城県を中心に屋根工事の豊富な実績を持つ、地域密着型の外装リフォーム専門店です。
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まとめ
屋根葺き替えとカバー工法には、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。葺き替え工事は費用は高くなりますが、下地からの完全な改修により長期的な安心感が得られるでしょう。
一方のカバー工法は、費用を抑えながら短期間で工事を完了できる利点があります。
工法の選択は、現在の屋根材や建物の状態、予算などを総合的に判断する必要があります。特に築年数が古い建物や雨漏りが発生している場合は、カバー工法ではなく葺き替え工事を検討すべきです。
また、工事を依頼する業者選びも重要で、実績や保証内容をしっかりと確認することが大切です。
建物に合った最適な工法を選択し、信頼できる業者に依頼することで、長期的な視点での満足度の高い屋根工事が実現できるでしょう。