「瓦は一生ものと聞いていたのに、営業の人に漆喰が剥がれていると言われた」
「親から引き継いだ築40年の家、瓦屋根はあと何年もつのだろう」
瓦屋根の耐用年数を調べると、30年や50年、100年と数字がばらばらです。余計に不安になった方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、粘土でできた瓦そのものは50年以上もちます。ただし屋根としての寿命は、瓦の下に敷いてある防水シートや漆喰といった『下地』の20〜30年で決まります。
つまり瓦がきれいに見えても、築20〜30年で一度は下地の状態を確かめる必要があるのです。
この記事では、施工実績5,500件以上のトベシンホームが瓦の種類の見分け方から解説します。築年数と状態で今どの段階にいるかを判断する表まで、順番に見ていきましょう。
この記事でわかること
- 瓦の種類別の耐用年数と、瓦が無事でも屋根としては20〜30年で手入れが要る理由
- 自分の家の瓦がどの種類か、写真で見分ける方法
- 築年数と状態から、今どの段階か(様子見、点検、部材補修、下地の更新)の判定表
なお、屋根材全体の耐用年数の一覧は屋根耐用年数の解説記事にまとめています。

※本記事の情報は2026年8月時点のものです。

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瓦屋根の耐用年数は瓦本体と屋根全体で違う
瓦屋根の耐用年数を考えるときに、まず押さえたいのは『瓦の寿命』と『屋根の寿命』は別ものだという点です。
瓦本体は50年以上もつ長寿命の屋根材ですが、屋根は瓦だけでできているわけではありません。

ここでは瓦屋根の耐用年数を、次の4つの視点で解説していきます。
粘土瓦は50年以上、セメント瓦は20〜40年
瓦本体の耐用年数は、粘土を焼いた瓦かセメントで固めた瓦かで大きく変わります。
粘土瓦は1,000℃以上の高温で焼き固めてあるため、紫外線や風雨に強く、50年以上もつのが一般的です。半永久的ともいわれ、100年近く使われている家も珍しくありません。
一方でセメント瓦やモニエル瓦は、表面の塗膜が瓦を守っています。塗膜が切れると瓦自体が水を吸って傷むため、耐用年数の目安は20〜40年です。
| 瓦の種類 | 素材 | 瓦本体の耐用年数の目安 |
|---|---|---|
| 陶器瓦(釉薬瓦) | 粘土 | 50年以上(半永久ともいわれる) |
| いぶし瓦・素焼き瓦 | 粘土 | 50年前後(陶器瓦よりやや短い) |
| セメント瓦・モニエル瓦 | セメント | 20〜40年(塗膜の状態で変わる) |
瓦本体の寿命に加えて、屋根としての寿命は次の項目で説明する下地で決まります。混同すると『瓦は100年もつから何もしなくていい』という誤解につながるので注意が必要です。
屋根としては下地の防水シート20〜30年が寿命
瓦屋根の本当の寿命を決めているのは、瓦の下に敷かれている防水シート(ルーフィング)です。
瓦は雨の大部分を流しますが、強い風雨のときは瓦の隙間から水が回り込みます。回り込んだ水を最後に止めているのが防水シートで、瓦が一次防水、防水シートが二次防水という二重構造になっています。
防水シートの耐用年数は、従来の高耐久品でも20〜30年です。瓦本体の半分以下しかもちません。
だから瓦の見た目が無事でも、築20〜30年を過ぎたら一度は防水シートの状態を確かめる必要があります。防水シートは瓦をめくらないと見えないため、外から眺めているだけでは劣化に気づけないのです。

耐用年数の数字が違うのは4種類が混ざるから
瓦屋根の耐用年数を調べると、30年や50年、100年と数字がばらばらです。数字が違うのは、次の4種類の『耐用年数』が同じ言葉で語られているからです。
- 瓦本体の寿命:粘土瓦なら50年以上。瓦のメーカーや専門店が語る数字
- 屋根としての寿命:防水シートや漆喰の20〜30年。屋根工事店が語る数字
- メーカー保証の年数:製品の保証期間で、寿命そのものではない
- 法定耐用年数:税金の計算に使う年数で、木造住宅は22年。建物の寿命ではない
読者の方が目にした数字が4つのどれなのかが分かれば、混乱はほぼ解けます。
この記事では『屋根としての寿命』を軸に、あと何年もつか、今なにをすべきかを判断していきます。法定耐用年数との違いは、記事の後半のよくある質問で詳しく触れます。
他の屋根材と比べた瓦屋根の耐用年数
瓦屋根は他の屋根材と比べても、瓦本体の耐用年数が圧倒的に長い屋根材です。主な屋根材の耐用年数を比べると、次のようになります。
| 屋根材 | 耐用年数の目安 |
|---|---|
| 瓦屋根(粘土瓦) | 50年以上 |
| ガルバリウム鋼板 | 30〜40年 |
| スレート屋根 | 20〜30年 |
| アスファルトシングル | 15〜30年 |
| トタン屋根 | 10〜15年 |
瓦本体は他の屋根材の2倍以上もちます。初期費用は高くなりますが、塗装のメンテナンスが要らないぶん、長い目で見るとコストを抑えやすい屋根材です。
ただし表の年数はあくまで屋根材本体の目安です。瓦屋根の場合は下地の20〜30年が先に来る点を忘れないでください。
屋根材ごとの詳しい耐用年数は、スレート屋根やアスファルトシングル、ガルバリウム屋根やトタン屋根それぞれの解説記事にまとめています。




瓦屋根の種類別の耐用年数と見分け方
「うちの屋根はどの瓦なのだろう」
瓦屋根の耐用年数を当てはめるには、まず自分の家の瓦がどの種類かを知る必要があります。
先に押さえたいのは、和瓦や洋瓦という呼び方や、和形や平板といった『形』は寿命に関係しないという点です。寿命を決めるのは粘土かセメントかという『素材』で、素材は表面の質感と割れた小口の色で見分けられます。
ここでは瓦の種類ごとの耐用年数と見分け方を解説していきます。
陶器瓦は50年以上で表面の光沢が目印

陶器瓦は、粘土瓦の表面に釉薬(ガラス質の層)をかけて焼いた瓦です。釉薬瓦とも呼ばれます。
表面がガラス質になっているため水が浸透せず、瓦本体の耐用年数は50年以上、半永久的ともいわれます。三州瓦や石州瓦といった産地の瓦は、100年以上使われている例もあります。
見分け方は表面のつやです。黒や銀、茶や青緑などの色があり、雨に濡れると光ります。割れた小口は白から灰色の粘土の色をしています。
陶器瓦は塗装によるメンテナンスが不要で、長い目で見ると維持費を抑えられます。ただし漆喰や防水シートは経年で傷むため、下地の点検は必要です。
いぶし瓦と素焼き瓦は銀色や赤茶色で見分ける

いぶし瓦と素焼き瓦は、釉薬をかけずに焼いた粘土瓦です。無釉薬瓦とも呼ばれます。
いぶし瓦は焼き上げの最後に燻して表面に炭素の膜を作った瓦で、つやのない銀色から銀黒色をしています。寺社の屋根で見かける色といえば分かりやすいでしょう。
素焼き瓦は表面に何も施していない瓦で、粘土そのものの赤茶色です。洋風の住宅で使われることが多い瓦です。
どちらも粘土瓦なので本体は長持ちしますが、表面の保護がないぶん陶器瓦よりやや短めです。いぶし瓦は炭素の膜が経年で薄くなると水を吸いやすくなり、素焼き瓦は吸った水が凍って割れることがあります。
築30年を過ぎたら、瓦の割れとあわせて表面の白っぽい変色がないかを見ておくと安心です。
セメント瓦とモニエル瓦は塗膜と小口で見分ける

セメント瓦は、セメントと砂を型で固めて塗装した瓦です。モニエル瓦はセメント瓦の一種で、表面に着色した層(スラリー層)を持っています。
どちらも粘土瓦より安く軽いため、関東では1970年代から80年代の住宅によく使われました。築30〜50年の家で瓦屋根といえば、セメント瓦の可能性が十分にあります。
見分け方は次の3点です。
- 表面がざらついて、塗装の色あせやコケが出ている
- 角が直線的で、瓦に厚みがある
- 割れた小口が灰色のセメントの色をしている
モニエル瓦はさらに、表面の着色層が粉のように剥がれてくるのが特徴です。
セメント瓦とモニエル瓦の耐用年数は、塗膜が瓦を守っている間が寿命です。目安は20〜40年で、10〜20年ごとの塗り替えを続けるかどうかで大きく変わります。
塗膜が切れたまま放置すると瓦が水を吸って割れやコケが進むため、粘土瓦とは違い塗装が必要な瓦だと覚えておいてください。
スレートやコロニアルは瓦ではない
『スレート瓦』『カラーベスト』と呼ばれる屋根材は、瓦ではありません。厚さ5mmほどのセメントの板で、コロニアルという商品名でも知られています。
見た目が平らな板状で、屋根に薄く重なって葺かれていれば瓦ではなくスレートです。耐用年数の考え方が瓦とは別なので、スレート屋根の方はスレート屋根の耐用年数の解説記事を参考にしてください。

瓦屋根は瓦が無事でも下地の寿命で雨漏りする
ここまで瓦本体の耐用年数を見てきました。しかし実際の現場では、瓦が1枚も割れていないのに雨漏りしている家が少なくありません。
原因は瓦ではなく、瓦の下や継ぎ目にある部材の寿命です。
ここでは瓦屋根の寿命を左右する4つの部材について解説していきます。
防水シート(ルーフィング)は20〜30年で寿命

瓦屋根の雨漏りを防ぐうえで、最も重要な役割を担っているのが瓦の下に敷かれている防水シートです。
どんなに高耐久な陶器瓦が形を保っていても、防水シートが寿命を迎えると雨漏りへと発展します。耐用年数は従来の高耐久品で20〜30年と、瓦の寿命よりも大幅に短い部材です。
築20年を過ぎたあたりからシートの乾燥やひび割れ、破れが進みます。ただし瓦をめくらないと状態が見えないため、外側の瓦に問題がなさそうに見えても安心はできません。
弊社の現場でも、瓦の下に新築時のごみが残されたまま防水シートに負担がかかり、葺き直しになった野田市のお宅がありました。瓦の状態と下地の状態は別ものだと考えてください。
漆喰と葺き土は10〜20年で傷み始める

漆喰は、棟瓦(屋根の頂上にある瓦)の土台を固定し、瓦の隙間を埋めて雨水の侵入を防ぐ建材です。棟の内側には葺き土という土が詰まっていて、漆喰は葺き土を守るふたの役割をしています。
漆喰の耐用年数は10〜20年ほどで、瓦全体の寿命に比べると短い部材です。直射日光と雨風で乾燥してひび割れ、やがてぽろぽろと剥がれ落ちます。
漆喰が落ちると中の葺き土が雨で流れ、棟瓦がずれたり崩れたりします。棟が崩れると雨漏りに直結するため、漆喰の詰め直しは瓦屋根の定期メンテナンスの中心といえます。
谷樋などの板金部は15〜25年でさびて穴があく
瓦屋根の寿命を左右するもう1つの盲点が、屋根の面と面が合わさる谷状の部分に付いている谷樋(たにどい)などの板金です。屋根に降った雨水が集中して流れる、最も雨漏りしやすい場所でもあります。
谷樋の耐用年数は15〜25年ほどです。泥や枯れ葉がたまり、経年でさびが進むと、板金に小さな穴があきます。
たとえ周囲の瓦が1枚も割れていなくても、谷樋に穴があけば、穴から雨水が天井裏へ入ります。見落としがちな板金も、さびが出てきたら交換の時期だと考えてください。
野地板は雨水が入ると腐り葺き替えが必要になる
野地板は、防水シートの下にある屋根の土台の板です。防水シートが健全な間は水に触れないため、本来は瓦と同じくらい長持ちします。
ところが防水シートや谷樋を越えた水が野地板に届くと、木材なので腐り始めます。野地板まで傷むと瓦を並べ直す葺き直しでは済まず、下地から交換する葺き替えが必要になります。
野地板がどこまで傷んでいるかは、屋根に上って瓦をめくらないと分かりません。築20年を過ぎた瓦屋根なら、まずは無料診断で下地の状態を確かめてみませんか。
瓦屋根の耐用年数が近いと出る5つのサイン
瓦屋根の劣化は、いくつかの特徴的なサインとして現れます。サインを早めに見つけられれば、部分的な補修で済むうちに手を打てます。
ここで大事なのは、地上から自分で見られるサインと、屋根に上らないと分からないサインがあることです。各サインに『自分で見られるか』を添えました。
ここでは瓦屋根の耐用年数が近いと出る5つのサインを解説していきます。
瓦のひび割れと欠け

瓦のひび割れや欠けは、瓦屋根の劣化の中で最も目に付きやすいサインです。強風で飛んできた物の衝撃や、吸った水が凍る繰り返しで起こります。
特に気を付けたいのは、複数の瓦に同時にひびが見られる場合です。材質の経年劣化が進んでいる可能性が高く、今後さらに多くの瓦が割れるおそれがあります。
欠けた瓦の破片が屋根の上や庭に落ちていたら、早めに対応してください。ひびや欠けを放置すると、割れ目から入った雨水が防水シートや野地板を傷めます。
庭に落ちた破片や、地上から双眼鏡で見える大きな割れは確認できます。細かいひびは屋根に上らないと分かりません。
瓦のずれと浮き

瓦のずれや浮きは、地震や強風など外からの力で起こりやすいサインです。瓦と瓦の間に隙間ができると、雨水が入りやすくなります。
注意したいのは軒先や棟の瓦のずれです。風の影響を受けやすく、1枚ずれると連鎖して他の瓦もずれていくことがあります。瓦の浮きは、固定している釘の劣化や抜けが原因になっている場合が多い症状です。
瓦をすべて釘やビスで固定するガイドライン工法は、2022年1月1日から新築で義務になりました。2022年より前に建てられた家は瓦の固定が任意だった時代の施工なので、古い家ほどずれやすいと考えて定期的に見ておく必要があります。
屋根の面が波打って見える、軒先の瓦が1枚だけ飛び出している、といったずれは地上からでも分かります。
漆喰の剥がれと劣化

漆喰の剥がれは、瓦屋根の耐久性に直接影響する重要なサインです。劣化の初期には表面のひび割れが目立ち始め、徐々に剥がれや欠落が進みます。
漆喰が落ちると棟瓦の固定力が弱まり、強風で棟全体が崩れるおそれがあります。特に雨どいの近くに漆喰の欠片が落ちていたら、棟の劣化が進んでいるサインです。
白い粉や欠片が軒下や雨どいに落ちていないか、棟に沿った白い線が途切れていないかは地上から確認できます。
棟瓦の歪みと崩れ

棟は屋根の最も高い部分で、風雨の影響を直接受けるため他の部分より劣化が早く進みます。棟瓦の歪みは、下の漆喰の劣化や葺き土の流出が原因になっている場合がほとんどです。
歪みが進むと瓦同士の隙間が広がり、雨水の入り口になります。さらに深刻になると棟瓦が落下するおそれもあり、安全面の心配も出てきます。
棟の歪みは建物全体の雨漏りに直結する症状です。歪みを見つけた時点で、棟の積み直しを検討してください。
棟が一直線でなく波打っている、瓦が1枚傾いている、といった歪みは道路側から見ても分かります。
天井のしみや雨漏り

雨漏りは瓦屋根の劣化の中で最も深刻なサインで、すでに屋根の機能が大きく落ちている証拠です。天井のしみや壁のカビ、雨の日に感じる湿った臭いが兆候として現れます。
雨漏りの原因は瓦のずれやひび割れ、漆喰の剥がれが多いのですが、見た目に問題がなくても防水シートの劣化が原因の場合があります。築20年以上の家では、防水シートが耐用年数を超えている可能性が高いためです。
天井のしみや屋根裏の水跡は室内から確認できます。ただし雨漏りの入り口は屋根の上にあり、原因の特定には専門業者の調査が必要です。
瓦屋根の雨漏りを自分で直せるかどうかは、瓦屋根の雨漏り修理の解説記事で詳しく解説しています。

上の5つのサインが1つでも当てはまれば、次の判断表で1段階早めに動くと考えてください。
築年数でわかる瓦屋根の耐用年数の段階と今やること
「結局、うちは今なにをすればいいのか」
瓦屋根の耐用年数は、築年数と瓦の種類にサインの有無を組み合わせると、今どの段階にいるかを判断できます。
段階は次の4つで、下にいくほど重くなります。
- 様子見
- 点検
- 漆喰や板金の部材補修
- 防水シートからやり直す下地の更新

ここでは築年数ごとの段階と、判断のときに押さえておきたいことを解説していきます。
築10〜20年は様子見と台風後の点検で足りる
粘土瓦の家なら、築10〜20年は瓦本体も下地も寿命の手前です。瓦の業界団体も、正しく施工された粘土瓦は30年はゆうにもつと案内しています。築15年で葺き替えを勧められても、急ぐ必要はありません。
やることは2つです。
- 台風や大きな地震のあとに、地上から瓦のずれや破片の落下がないかを見る
- 10年に1度を目安に、屋根全体の点検を受ける
10年ごとという目安は、国が長期優良住宅に求めている『少なくとも10年ごとの点検』に合わせたものです。
セメント瓦やモニエル瓦の家は、粘土瓦と違って塗膜が寿命を決めます。築10〜20年で色あせやコケが目立ってきたら、塗り替えを検討する時期です。
築20〜30年は漆喰と下地の点検で補修を決める
築20〜30年は、漆喰と葺き土、谷樋の板金が寿命を迎える帯です。防水シートも20年を過ぎると劣化が始まります。
先ほどの5つのサインが1つでもあれば、漆喰の詰め直しや板金の交換といった部材補修の段階です。棟を解体せずに直せるうちに手を打てば、費用は部分補修の範囲で収まります。
サインが見当たらなくても、防水シートは外から見えません。築20年を過ぎたら一度は瓦をめくって下地を確かめる点検を受けてください。
弊社の現場では、モニエル瓦で築45年の野田市のお宅を点検した結果、屋根塗装と漆喰の全交換に袖瓦の下の垂木交換を加えた工事で済ませた例があります。下地が生きていれば、築年数が経っていても部材補修で止められるのです。
築30年以上は葺き直しか葺き替えを視野に入れる
築30年以上は、防水シートが耐用年数を超えている可能性が高い帯です。瓦がきれいでも、下地を更新する工事を視野に入れる段階に入ります。
工事は2つに分かれます。瓦が健全なら、瓦をいったん下ろして防水シートと桟木を新しくし、同じ瓦を戻す葺き直しです。瓦や野地板まで傷んでいれば、瓦ごと新しくする葺き替えになります。
なお瓦屋根は重さと形の関係で、既存の屋根に重ねるカバー工法ができません。選択肢は葺き直しか葺き替えの2つだと覚えておいてください。
葺き直しと葺き替えの中身や選び方は瓦屋根のリフォーム方法の解説記事に、費用の詳しい比較は瓦屋根葺き替え費用の解説記事にまとめています。瓦屋根にカバー工法ができない理由も別の記事で解説しています。



早めに動いた方がいい家の条件
同じ築年数でも、次の条件に当てはまる家は段階を1つ早めて考えた方が安心です。
- 2022年1月より前に建てられ、瓦の固定が釘やビスでない古い工法の家
- 台風の通り道や海に近い場所にあり、強風や塩害を受けやすい家
- 谷や棟が多い複雑な形の屋根や、勾配のゆるい屋根
施工の面では、防水シートにしわや破れがあったり、棟の漆喰の塗り方が不適切だったりすると劣化が早まります。環境の面では、関東でも台風の強風で瓦がずれる被害は毎年のように起きています。
屋根の形では、谷や棟が多いほど水がたまる場所が増え、たまった水から劣化が進みます。勾配がゆるい屋根は排水が悪く、防水シートへの負担が増える点も同じです。
放置して野地板まで傷んだ瓦屋根の実例
判断を先延ばしにするとどうなるかを、弊社が松戸市で施工した実例で紹介します。
松戸市のお宅は長年手を入れておらず、屋根の端の木材が風雨で朽ちて一部崩れていました。野地板も劣化し、破風の強度が落ちて雨漏りが起きている状態です。
工事では既存の瓦をすべて下ろし、野地板と防水シート、桟木を新しくしたうえで新しい瓦を葺きました。鬼瓦の漆喰も補充し、費用は50万〜100万円の価格帯です。
漆喰の詰め直しで済んだはずの段階を過ぎると、下地の交換まで一気に進みます。段階が早いほど工事は小さく済むと覚えておいてください。
段階ごとの費用の幅と点検の頻度
段階ごとの費用は、30坪の戸建てでおおよそ次の幅です。
| 段階 | 主な工事 | 費用の目安(30坪) |
|---|---|---|
| 部材補修 | 漆喰の詰め直し、瓦の差し替え、板金交換 | 5万〜30万円 |
| 下地の更新(瓦を再利用) | 葺き直し | 60万〜100万円 |
| 下地の更新(瓦も新しく) | 葺き替え | 90万〜250万円 |
金額は屋根の大きさや傷み方で変わるため、最終的には現地の診断で見積もりを取ってください。
点検の頻度は10年に1度を基本に、台風や大きな地震のあとに追加で見てもらうのがおすすめです。弊社ではドローンでの診断を無料で行っています。
工事の費用をもう少し詳しく知りたい方は、瓦屋根葺き替え費用の解説記事を参考にしてください。

瓦屋根の耐用年数についてよくある質問
最後に、瓦屋根の耐用年数についてよくある質問にまとめて回答します。
- 国税庁の法定耐用年数と瓦屋根の寿命は違うのですか
-
違います。法定耐用年数は減価償却、つまり税金の計算で建物の価値を減らしていく年数で、木造の住宅は22年、鉄筋コンクリート造の住宅は47年と決められています。
瓦単体の年数は定められておらず、建物が実際にもつ年数とも関係ありません。瓦屋根が何年もつかを知りたいときは、法定耐用年数ではなく、記事内で紹介した瓦本体と下地の寿命で考えてください。
- 瓦の葺き替えは何年に1度必要ですか
-
粘土瓦なら瓦本体を替える必要はほとんどなく、目安になるのは下地の防水シートの20〜30年です。
防水シートの寿命が来ても瓦が健全なら、瓦を再利用する葺き直しで済みます。葺き替えが要るのは、瓦や野地板まで傷んだ場合です。
- 瓦屋根はデメリットしかないというのは本当ですか
-
そんなことはありません。初期費用が高い、重量があって耐震面で不利といわれがちですが、粘土瓦は塗装が要らず本体が50年以上もつ長寿命の屋根材です。
断熱性や遮音性にも優れ、長い目で見た費用ではスレートや金属屋根より抑えられる場合もあります。
- 瓦屋根で後悔する主な原因は何ですか
-
最も多いのは『瓦は一生もの』という言葉をそのまま信じて放置し、雨漏りを起こしてしまう例です。瓦本体は長持ちでも、防水シートや漆喰は20年前後で寿命を迎えます。
内部の木材まで腐らせると工事費用が跳ね上がるため、築20年を過ぎたら下地の点検を受けることが後悔を防ぐ近道です。
- 瓦屋根に塗装は必要ですか
-
粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦、素焼き瓦)は塗装が不要です。塗っても密着しにくく、かえって見た目を損ねることがあります。
塗装が必要なのはセメント瓦とモニエル瓦で、10〜20年ごとの塗り替えが瓦本体の寿命を左右します。
まとめ
瓦屋根の耐用年数は、粘土瓦なら瓦本体で50年以上、セメント瓦やモニエル瓦なら20〜40年が目安です。ただし屋根としての寿命は、瓦の下にある防水シートや漆喰といった下地の20〜30年で決まります。
だからこそ、瓦がきれいに見えても築20〜30年で一度は下地を確かめる必要があります。自分の家の瓦の種類と築年数にサインの有無を加えて判断表に当てはめれば、今が4つの段階のどこにいるかが見えてきます。
見えない下地の状態だけは、屋根に上って確かめるしかありません。まずは無料診断で、今必要な工事とまだ必要でない工事を分けて確認するところから始めてみませんか。
屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。

