「カバー工法は費用を抑えられると聞いたけど、本当に大丈夫なのかな」
「業者からカバー工法をすすめられたけど、デメリットが気になる」
「将来的な修繕のことを考えると、選択を迷ってしまう」
屋根のリフォームでカバー工法を検討する中で、このような不安を抱える方は少なくないでしょう。
確かに、工事費用を抑えられる点は魅力的です。しかし、建物の状態や条件によっては適さないケースもあり、慎重な判断が必要となります。
実は、カバー工法には重要な制限事項があり、すべての建物に適用できるわけではありません。むしろ、建物の状態や築年数によっては、葺き替え工事など他の選択肢を検討したほうが良い場合も存在するのです。
この記事では、カバー工法の具体的なデメリットから工事ができない条件、後悔しないための重要なポイントまで詳しく解説していきます。正しい知識を得ることで、あなたの家に本当にカバー工法が適しているのか、適切な判断が可能となるはずです。
この記事のポイント
- 重量増加が建物に負担をかける
- 瓦屋根や雨漏りには適用できない
- 費用削減と工期短縮が大きな利点

屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。
屋根カバー工法とは?

屋根カバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を被せる工事方法です。「重ね葺き」とも呼ばれ、従来の葺き替え工事と比べて工期が短く、費用を抑えられる工法として注目を集めています。
一般的な工事の流れは、まず既存の屋根を高圧洗浄で清掃し、その上に防水シート(ルーフィング)を張ります。その後、新しい屋根材を設置して完成となります。
標準的な戸建て住宅(30坪程度)の場合、工期は以下のような期間で完了するでしょう。
作業内容 | 所要日数 |
---|---|
足場の組み立て | 1日 |
防水シートの施工 | 1日 |
板金部材の取り付け | 2日 |
屋根材の設置 | 3日 |
棟板金の取り付け | 1日 |
足場の解体 | 1日 |
特に築20年前後のスレート屋根(コロニアル屋根)に採用されることが多く、工事費用は葺き替え工事と比べて30〜40%ほど抑えられることが特徴です。
ただし、建物の状態や既存の屋根材によって施工できない場合もあり、事前の入念な調査と適切な判断が必要となります。
屋根カバー工法の基本的な知識や費用相場、事前に知っておくべきポイントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

屋根カバー工法のデメリット
カバー工法には重要なデメリットが存在します。工事を検討する際には、これらの制限事項をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
デメリット1:屋根の重量が増加する
カバー工法では既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため、建物への負担が増加します。一般的な金属屋根材を使用した場合、1㎡あたり約3~5kg程度の重量が追加されるでしょう。
この重量増加は建物の耐震性に影響を与える可能性があり、特に築年数が古い建物や耐震性に不安がある場合は注意が必要です。また、豪雪地域では積雪による重量も考慮しなければなりません。
デメリット2:耐久性能が低下する
カバー工法では既存の屋根の状態が新しい屋根材の耐久性に大きく影響します。特に下地の腐食や劣化が見過ごされた場合、表面上は新しく見えても、内部では劣化が進行し続けることになります。
また、二重構造となることで通気性が低下し、結露の発生リスクが高まる可能性もあるでしょう。このような状況は、野地板の腐食を促進させ、屋根全体の耐久性を低下させる原因となります。
デメリット3:部分的な修理が困難
カバー工法で使用される金属屋根材は、部分的な修理や交換が難しい構造となっています。特にかん合式の屋根材の場合、1枚の破損や不具合が見つかっても、上下左右の屋根材も含めて広範囲の交換が必要になることがあります。
このため、将来的な修繕費用が葺き替え工事と比べて高額になる可能性が高く、長期的な維持管理コストを考慮する必要があるでしょう。
屋根カバー工法のメリット
一方で、カバー工法には大きな利点もあります。以下では主な3つのメリットについて解説していきます。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット1:工事費用を削減できる
カバー工法は、既存の屋根材を撤去する必要がないため、大幅なコスト削減が可能です。特にアスベストを含む古いスレート屋根の場合、撤去・処分費用が不要となるため、葺き替え工事と比べて30〜40%ほど費用を抑えられます。
また、廃材処理費用も最小限に抑えられるため、予算を効率的に活用することができるでしょう。
屋根カバー工法の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

メリット2:工事期間が短い
カバー工法の標準的な工期は7~12日程度で、葺き替え工事の半分以下の期間で完了します。既存屋根の撤去作業が不要なため、工事による生活への影響を最小限に抑えることができます。
また、粉塵の発生も少なく、近隣への配慮も行いやすい工法といえるでしょう。
屋根カバー工法の期間について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

メリット3:住宅性能の向上
カバー工法により屋根が二重構造となることで、断熱性や遮音性が向上します。特に金属屋根材の裏面に断熱材が施されている場合、夏場の小屋裏の温度上昇を抑制し、冬場の熱損失も軽減できます。
また、二重構造による遮音効果は、雨音の軽減にも貢献するため、生活環境の改善にもつながるでしょう。
屋根カバー工法が適用できないケース
カバー工法はすべての屋根に適用できるわけではありません。以下では、カバー工法が適用できない3つの主なケースについて解説します。
これらのケースに該当する場合は、葺き替え工事など他の工法を検討する必要があります。
ケース1:瓦屋根などの凹凸がある屋根材
和瓦や洋瓦などの陶器製屋根材は、表面に大きな凹凸があるため、カバー工法での施工が困難です。
このような屋根材の上から新しい屋根材を均一に施工することは技術的に難しく、雨漏りのリスクが高まります。
また、重量のある瓦屋根の上にさらに屋根材を重ねることは、建物への負担が大きすぎるため避けるべきでしょう。
ケース2:既に雨漏りが発生している
雨漏りが発生している屋根では、野地板や木材の腐食が進行している可能性が高く、カバー工法は適していません。新しい屋根材を固定する下地の強度が不足し、はがれや破損のリスクが高まるためです。
このような場合は、まず雨漏りの原因を特定し、下地から補修する必要があるでしょう。
ケース3:過去にカバー工法を実施済み
一度カバー工法を実施した屋根への再施工は不可能です。既に二重構造となっている屋根にさらに重ねることは、重量面での制約や施工技術的な観点から適切ではありません。
このケースでは葺き替え工事を選択し、既存の屋根材を全て撤去して新しく施工し直す必要があるでしょう。
屋根カバー工法で後悔しないためのポイント
カバー工法を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下では、失敗しないための3つの重要なチェックポイントについて解説します。
これらのポイントを押さえることで、満足度の高い工事が実現できます。
ポイント1:実績のある専門家に相談する
カバー工法は、下地の状態診断や施工技術に高い専門性が要求される工事です。そのため、豊富な施工実績を持つ専門家に相談することが重要です。
特に下地の状態確認や建物への負荷の影響など、専門的な見地からの適切な判断が必要となります。業者選びの際は、過去の施工事例や資格の保有状況なども確認しましょう。
ポイント2:複数の業者から相見積もりをとる
カバー工法の見積もりは、業者によって金額や工事内容に大きな差が出ることがあります。最低でも3社以上から見積もりを取得し、工事内容や使用する材料、保証内容などを細かく比較することが重要です。
また、見積書には追加工事の可能性や保証範囲についても明記してもらい、後々のトラブルを防ぐことが大切でしょう。
屋根カバー工法の見積もりで見るべきポイントをについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

ポイント3:工事保証内容を事前に確認する
カバー工法の保証内容は業者によって大きく異なります。一般的な保証期間は10~15年ですが、その保証範囲や条件は様々です。
特に雨漏りへの保証や、メンテナンス体制の有無は重要なポイントとなります。保証書の内容をしっかりと確認し、長期的な安心感が得られる業者を選択することが賢明でしょう。
屋根カバー工法のご相談ならトベシンホームへ

項目 | 詳細 |
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会社名 | FCR株式会社(トベシンホーム) |
本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 Googleマップ |
電話番号 | 0120-685-126 |
営業時間 | 8:00〜20:00 年中無休 |
トベシンホームは、千葉県・埼玉県・茨城県を中心に、カバー工法を含む多様な屋根工事を手がける外装リフォーム専門店です。各地域の建築事情や気象条件に精通したベテラン職人たちが、お客様の大切な住まいに最適な工事プランをご提案いたします。
当社では、事前の現地調査から工事の施工、その後のメンテナンスまで、すべての工程を熟練の自社スタッフが担当。これにより、確かな品質と適正価格の両立を実現してきました。
屋根工事には、補助金の活用や火災保険の申請など、費用面でのサポートも重要です。当社ではこれらの手続きもトータルでサポートしており、お客様の負担を最小限に抑えた工事の実施が可能です。
屋根の状態やカバー工法の適用可否について、お気軽にご相談ください。
まとめ
カバー工法は、既存の屋根材を活かしながら新しい屋根に生まれ変わらせることができる、効率的な工事方法です。工期が短く、費用も抑えられることから、多くの方に選ばれている工法といえるでしょう。
しかし、建物の状態やすでに発生している不具合によっては、カバー工法が適さないケースもあります。特に瓦屋根や雨漏りが発生している場合、過去にカバー工法を実施している場合は、他の工法を検討する必要があるのです。
成功の鍵は、事前の入念な調査と信頼できる業者選びにあります。実績のある専門家に相談し、複数の見積もりを比較検討することで、適切な判断が可能となります。建物の状態や予算を考慮しながら、長期的な視点で最適な工法を選択することが重要です。