「屋根のリフォームを考えているけど、どの工法がいいのかわからない」
「カバー工法は本当に費用が安くなるの?」
「うちの屋根にカバー工法は適しているのかな」
築10年以上の住宅にお住まいの方なら、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
屋根のメンテナンスは建物を長持ちさせるために欠かせませんが、工法選びを間違えると予想外の出費や工期の延長を招くこともあります。
特に屋根カバー工法は、費用を抑えて短期間で完了できる工法として注目されていますが、すべての屋根に適しているわけではありません。既存の屋根の状態や建物の条件によって、適用できるかどうかが大きく変わってくるのです。
この記事では、屋根カバー工法の基本的な仕組みから、メリット、費用相場、おすすめの屋根材、そして信頼できる業者の選び方まで詳しく解説します。
あなたの家に最適なリフォーム方法を選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- カバー工法で工事費用を30〜40%削減
- 瓦屋根や雨漏りには適さない
- 業者選びが屋根リフォーム工事では重要

屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。
屋根カバー工法の基礎知識
屋根カバー工法の特徴と基本的な内容について解説します。既存の屋根を活かしながら新しい屋根材を重ねる独特の工法です。
それぞれのポイントを理解して、賢い屋根リフォームの選択に役立てましょう。
屋根カバー工法の仕組み
屋根カバー工法とは、既存の屋根材をそのまま残し、その上に新しい屋根材を重ねて施工する方法です。「重ね葺き」とも呼ばれるこの工法は、古い屋根を撤去せずに新しい屋根へと生まれ変わらせることができます。
工事では、まず既存屋根の上に防水シート(ルーフィング)を敷き、その上から新しい屋根材を固定していきます。二重構造となることで防水性が高まり、断熱性や遮音性も向上するのが特徴です。
特にスレート屋根(カラーベスト・コロニアル)の上にガルバリウム鋼板などの軽量屋根材を施工するケースが多く見られます。この方法なら、廃材処理の費用も抑えられるでしょう。
工事の流れと期間
屋根カバー工法の工事は、一般的に次のような流れで進行します。まず足場を設置し、既存屋根の棟板金や雪止めなどの付属部材を取り外します。
次に屋根の清掃を行い、防水シートを敷設した後、新しい屋根材を設置します。最後に新しい棟板金や雨樋などを取り付けて完了です。
工期は一般的な戸建て住宅で7〜12日程度となり、葺き替え工事の半分程度の期間で済むことが多いでしょう。
天候に左右されることはありますが、短期間で完了するため生活への影響も最小限に抑えられます。
さらに、既存屋根を撤去しないため、工事中の騒音や粉塵も少なく、近隣への配慮が必要な住宅地でも比較的スムーズに工事を進めることが可能です。
屋根のカバー工法の基礎的な知識について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

適切な施工時期と耐用年数
カバー工法に最も適した時期は、築10〜30年程度の建物です。この時期であれば、屋根材の劣化が軽度で下地も比較的健全な状態を保っていることが多いため、理想的な施工条件といえるでしょう。
特に2004年以前に施工されたスレート屋根の場合、アスベストを含有している可能性があるため、撤去費用が高額になります。このような屋根は、カバー工法による改修が経済的な選択となります。
適切に施工された屋根カバー工法の耐用年数は、一般的に20〜25年程度です。
使用する屋根材によって差はありますが、10年程度を目安に専門家による点検を行い、必要に応じて部分的な修繕を行うことで、より長く安心して使用することが可能です。
屋根のカバー工法の耐用年数について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

葺き替え工事との違い
葺き替え工事は既存の屋根材を完全に撤去し、下地から新しく施工する工法です。一方、カバー工法は既存屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、両者には明確な違いがあります。
葺き替えでは下地の状態を詳細に確認でき、腐食部分の補修も可能ですが、廃材処理費がかさみ、工期も長くなります。カバー工法は工期が短く費用も抑えられますが、既存の下地問題を完全に解決できない場合もあるでしょう。
また、葺き替えでは屋根材の選択肢が広がりますが、カバー工法では軽量な材料に限定されます。
どちらを選ぶかは、建物の状態や予算、将来的な計画によって異なるため、専門家と相談しながら最適な方法を選ぶことが大切です。
屋根葺き替えとカバー工法の違いについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

リフォームにカバー工法を選ぶメリット
屋根カバー工法には、従来の葺き替え工事と比較して多くの利点があります。費用や工期、住環境への影響など、様々な面でメリットがあるのです。
これらのメリットを理解することで、あなたの家に適したリフォーム方法を選ぶ参考になるでしょう。
メリット1:費用面での優位性
屋根カバー工法の最大の魅力は、工事費用を大幅に抑えられる点です。既存屋根を撤去せずに新しい屋根材を重ねるため、撤去・解体費用や廃材処理費が不要となります。
特に顕著なのは、2004年以前に施工されたスレート屋根の場合です。これらの屋根材にはアスベストが含まれている可能性が高く、葺き替え時には特殊な処理が必要となるため、処分費用が30〜50万円ほど上乗せされます。カバー工法なら、この費用を回避できるのです。
結果として、葺き替え工事と比較すると30〜40%ほど費用を削減できることが多いでしょう。限られた予算内で効果的な屋根リフォームを実現したい方に特におすすめの工法といえます。
メリット2:工期の短縮効果
カバー工法は、既存屋根の撤去作業が不要なため、工期を大幅に短縮できるというメリットがあります。一般的な戸建て住宅の場合、葺き替え工事では10〜20日程度かかる工事が、カバー工法なら7〜12日程度で完了するでしょう。
短期間で工事が終わるため、天候不順による影響も少なく、予定通りに工事を進めやすいという利点もあります。さらに、工事期間中の生活への影響も最小限に抑えられるため、快適に過ごすことが可能です。
加えて、近隣への騒音や粉塵の影響も少なくなり、住宅密集地でのトラブルを避けやすい点も大きな魅力といえるでしょう。短期間での施工を希望する方に最適な選択肢です。
メリット3:住環境の改善効果
カバー工法は屋根が二重構造になることから、断熱性や遮音性が向上するという利点があります。既存の屋根と新しい屋根材の間に空気層が生まれ、断熱効果を発揮するのです。
夏場は小屋裏の温度上昇を抑制し、冬場は室内の熱が外に逃げるのを防ぎます。このため、年間を通して室内温度が安定しやすくなり、エアコンなどの使用頻度が減少することで、光熱費の節約にもつながるでしょう。
さらに、二重構造による遮音効果は、雨音の軽減にも大きく貢献します。特に金属屋根の弱点とされる雨音も、既存屋根がクッションとなることで軽減され、静かで快適な住環境を実現できるのです。
メリット4:建物への負担軽減
屋根の葺き替え工事では、既存屋根の撤去時に住宅に振動や衝撃が加わることがありますが、カバー工法ではこの負担が最小限に抑えられます。古い建物や経年劣化が進んだ住宅にとって、これは大きなメリットといえるでしょう。
加えて、解体作業がないため、屋内への粉塵の侵入や雨漏りのリスクも低減されます。工事中でも安心して生活を続けられるのは、住人にとって大きな安心材料となるはずです。
また環境面でも優れており、廃材が少ないため産業廃棄物の削減にも貢献します。特にアスベスト含有屋根材の場合、そのまま封じ込めることになるため、飛散のリスクを回避できる点も重要な利点です。
屋根カバー工法の費用相場
屋根カバー工法の標準的な費用相場は、30坪程度の一般的な戸建て住宅で約80〜150万円です。
葺き替え工事の150〜200万円と比較すると、30〜40%ほど費用を抑えられるでしょう。主な費用内訳は以下の通りです。
項目 | 費用(税抜) |
---|---|
屋根材・施工費 | 8,000~10,000円/㎡ |
足場工事 | 15~20万円 |
防水シート | 500~1,500円/㎡ |
諸経費 | 工事費用の5~10% |
屋根の形状や面積によっても費用は変動します。シンプルな切妻屋根は比較的安価ですが、寄棟屋根など面が多い複雑な形状では費用が高くなる傾向があります。
また屋根の勾配が急な場合も、作業難度が上がるため追加費用が発生することがあるでしょう。
既存屋根の状態によっては追加工事が必要となるケースもあります。特に野地板の腐食が見られる場合は1㎡あたり1,500〜2,500円程度の補修費用、棟板金や雨樋の劣化が進んでいる場合はこれらの交換費用も必要となります。
築年数が長い建物では予想外の劣化が見つかるリスクが高いため、信頼できる業者による事前調査と詳細な見積りを取得することが重要です。予算計画の際には、ある程度の予備費を見込んでおくと安心でしょう。
屋根カバー工法の費用について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

屋根カバー工法におすすめな屋根材
カバー工法で使用する屋根材は、重量制限の関係から軽量なものが求められます。代表的な3種類の特徴を紹介します。
それぞれの特性を理解して、最適な屋根材を選びましょう。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、カバー工法でもっとも多く使用される屋根材です。アルミニウムと亜鉛の合金でコーティングされた鋼板で、錆びにくく軽量な特徴を持っています。
1㎡あたり5〜7kgと非常に軽いため、建物への負担が少なく、耐震性を損なうリスクも最小限です。耐用年数は約25〜30年と比較的長く、コストパフォーマンスに優れている点も魅力でしょう。
価格は他の屋根材と比較して中程度ですが、10〜15年ごとに塗装メンテナンスが必要となります。遮熱タイプや断熱材付きの製品もあり、住環境の改善にも貢献するため、総合的なバランスの良さから多くの現場で採用されています。
ガルバリウム鋼板カバー工法の費用について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

ファイバーグラスシングル
ファイバーグラスシングルは、北米で主流のアスファルトシングルの一種で、ガラス繊維を基材としたシート状の屋根材です。長期間のメンテナンスフリーが特徴で、塗り替えがほとんど不要です。
1㎡あたり12〜15kgとガルバリウム鋼板よりはやや重いものの、カバー工法に適した軽量性を持っています。耐用年数は30〜40年と長く、初期費用は比較的抑えられるため、長期的なコストパフォーマンスは非常に高いでしょう。
さらに雨音を抑える性能に優れており、金属屋根で懸念される騒音問題も解消できます。部分交換も可能なため、万が一の損傷時にも対応しやすい点も大きな利点といえるでしょう。
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板の表面に石粒を付着させた屋根材です。軽量性と高い耐久性、さらに優れた遮音性を兼ね備えています。
重量はガルバリウム鋼板とほぼ同じで、1㎡あたり約5〜7kgと非常に軽量です。耐用年数は30〜40年と長く、表面の石粒コーティングにより塗り替えがほとんど不要な点が大きな特徴となっています。
初期費用は3種類の中で最も高めですが、長期的な視点では優れたコストパフォーマンスを発揮します。表面の石粒が雨音を軽減する効果もあり、静かで快適な住環境を求める方に特におすすめの屋根材といえるでしょう。
屋根リフォームでカバー工法が適さない条件
屋根カバー工法はすべての屋根に適応できるわけではありません。以下の条件に当てはまる場合は、別の工法を検討する必要があります。
適切な工法選択のために、これらの条件を確認しておきましょう。
条件1:瓦屋根の場合
和瓦やセメント瓦などの瓦屋根には、カバー工法の施工が困難です。瓦屋根は表面に凹凸があり、その上から新しい屋根材を均一に施工することができません。
さらに、瓦は1坪あたり約165kgと非常に重いため、その上に新たな屋根材を重ねると建物への負担が過大になってしまいます。特に古い建物では耐震性の観点からも避けるべきでしょう。
瓦屋根では、葺き替え工事を選択するのが適切です。むしろ耐震性向上のために、瓦から軽量なガルバリウム鋼板などに葺き替えることで、建物全体の安全性を高めることができます。
条件2:古いトタン屋根の場合
金属製の瓦棒葺きやトタン屋根は、経年劣化により下地が傷んでいることが多く、カバー工法には適していません。
これらの屋根材は長年の使用で錆びや腐食が進行し、屋根下地である野地板にも劣化が及んでいることがほとんどです。
こうした状態の上に新しい屋根材を重ねても、根本的な問題は解決できず、数年後に再び不具合が生じる可能性が高いでしょう。
また、トタン屋根自体も凹凸があり、カバー工法での施工が技術的に難しい面もあります。
このような場合は、一度古い屋根材を撤去し、下地から改修する葺き替え工事が推奨されます。初期費用は高くなりますが、長期的な安心を得られる点で優れています。
条件3:雨漏りなどの既存の不具合
雨漏りの痕跡がある場合や、屋根下地の腐食が疑われる場合は、カバー工法を避けるべきです。これらの問題は、既存屋根の上から新しい屋根材を重ねただけでは解決しません。
雨漏りは屋根の構造的な問題や下地の劣化が原因であることが多く、表面的な対処では根本的な解決にはなりません。
むしろ新しい屋根材で覆ってしまうことで、問題の発見が遅れ、被害が拡大するリスクもあるでしょう。
下地から全面的に改修する葺き替え工事なら、腐食部分の交換や防水処理を徹底できます。費用はかかりますが、長期的な安全性と耐久性を確保するためには必要な投資と考えるべきです。
優良な屋根カバー工法業者の選び方
屋根カバー工法の成功は、信頼できる業者選びにかかっています。適切な業者を選ぶためのポイントを解説します。
これらのポイントを押さえることで、満足度の高い屋根リフォームを実現できるでしょう。
選び方1:複数社から見積もりを取る
屋根カバー工法の見積もりは、最低でも3社以上から取得するのが理想的です。同じ工事内容でも、業者によって見積金額が大きく異なることがあります。
見積もりを比較する際は、単に金額だけでなく、使用する材料の品質や仕様、工事範囲なども確認しましょう。特に足場代や諸経費などの項目は、業者によって計上方法が異なるため、しっかりと内訳を確認することが重要です。
ただし、あまりに安価な見積もりには注意が必要です。適正な価格より大幅に安い場合、材料の質や施工技術に問題がある可能性があります。価格と品質のバランスを見極め、納得できる業者を選びましょう。
選び方2:実績と評判から選ぶ
屋根カバー工法の経験が豊富な業者を選ぶことは、工事の成功に直結します。施工実績や住宅メーカーとの取引実績を確認し、信頼性を判断する材料としましょう。
具体的には、会社のホームページやSNSで過去の施工事例を確認したり、可能であれば実際の施工現場の見学をお願いしたりするのも効果的です。特に自宅と似た条件での施工例があれば、完成イメージが掴みやすくなるでしょう。
さらに、口コミサイトやGoogleマップの評価なども参考になります。第三者からの評価は、業者の対応や技術力、アフターサービスの質を知る上で貴重な情報源となります。良い評判が多い業者は、それだけ顧客満足度が高いといえるでしょう。
選び方3:保証とアフターフォロー体制を確認する
工事後のトラブルに備え、保証内容とアフターフォロー体制は重要なチェックポイントです。標準的な保証期間は10〜15年程度ですが、業者によって内容には差があります。
特に雨漏りや屋根材の剥がれなど、発生頻度の高いトラブルが保証対象に含まれているかを確認しましょう。また、保証書の発行有無や、保証を受けるための条件(定期点検の実施など)についても事前に確認が必要です。
信頼できる業者は、工事完了後も定期的な点検サービスを提供しています。緊急時の対応体制や、修理・メンテナンスの依頼方法なども明確に説明してくれるはずです。
長期的な関係を築ける業者を選ぶことで、安心して住まいを任せることができるでしょう。
屋根カバー工法業社の見分け方・探し方について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

カバー工法の屋根リフォームはトベシンホームにお任せください

項目 | 詳細 |
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会社名 | FCR株式会社(トベシンホーム) |
本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 Googleマップ |
電話番号 | 0120-685-126 |
営業時間 | 8:00〜20:00 年中無休 |
トベシンホームは、千葉・埼玉・茨城を拠点とする屋根カバー工法の施工実績豊富な外装リフォーム専門店です。各地域の気候条件や建築特性を熟知した技術者が、お客様の住宅に最適な工法と屋根材をご提案いたします。
当社では調査から見積り、施工、アフターケアまでを自社スタッフが一貫して担当する体制を整えており、中間マージンが発生しないため高品質な施工を適正価格で実現しています。
特にカバー工法については、下地診断から屋根材選びまで、専門的な知識を活かした的確なアドバイスを提供いたします。
また、補助金申請のサポートも行っており、工事費用の負担軽減にも貢献しています。屋根の状態に不安がある方や、リフォームを検討中の方は、まずは無料点検をご利用ください。最短即日での現地調査も可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
屋根カバー工法は、既存の屋根を活かして新しい屋根材を重ねる工法で、費用と工期を抑えたリフォームが可能です。費用相場は30坪程度の住宅で80〜150万円と、葺き替え工事より30〜40%ほど安価になるのが魅力です。
ただし、すべての屋根に適用できるわけではありません。瓦屋根や古いトタン屋根、雨漏りなどの不具合がある屋根には不向きであり、このような場合は葺き替え工事を検討すべきでしょう。
カバー工法に適した屋根材としては、軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板やファイバーグラスシングル、ジンカリウム鋼板などがあります。それぞれ特徴が異なるため、住宅の条件や予算に合わせて選択することが重要です。
工事の成功には、複数社から見積もりを取り、実績と評判を確認し、保証内容をチェックするなど、信頼できる業者選びが欠かせません。
適切な工法と屋根材、そして優良な業者を選ぶことで、長く安心して暮らせる屋根リフォームを実現できます。