「スレート屋根にカバー工法って本当に効果があるのかな」
「費用はどのくらいかかるんだろう」
「葺き替えとどちらを選ぶべきなのか迷ってしまう」
スレート屋根の改修を考える中で、このような不安や疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。特に築20年以上が経過した建物では、カバー工法と葺き替えのどちらを選ぶべきか、判断に迷われることも少なくありません。
一方で、カバー工法は費用を抑えながら屋根を一新できる工事方法です。既存の屋根を活かすことで、工期も短く、アスベスト処理の心配も避けることができるのです。
この記事では、スレート屋根のカバー工法について、費用相場から選ぶべき条件、注意点まで詳しく解説していきます。建物の状態に合わせた適切な判断基準を知ることで、後悔のない屋根リフォームを実現できるはずです。
この記事のポイント
- 既存屋根材を全撤去し新材料に交換する大規模工事
- 雨漏りを根本的に解決できる
- 雨漏りや構造強度の事前確認が重要

屋根工事45年のプロフェッショナル。日本瓦から最新屋根材まで3万件以上の施工実績を持ち、独自開発した「増山式耐風工法」は台風対策として業界で高評価。文化財修復にも携わりながら、職人育成学校での若手指導や各メーカーの製品開発顧問として、伝統技術の継承と革新に貢献。
スレート屋根のカバー工法とは?
スレート屋根のカバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねていく工事方法です。主に築15年から30年程度経過したスレート屋根に対して行われる改修工事の一つ。
特徴的なのは、古い屋根材をそのまま活かすことで、アスベスト処理などの費用を抑えられる点です。また、既存の屋根の上から軽量の金属屋根材を被せることで、耐久性の向上と断熱効果も期待できます。
工事の手順としては、まず既存のスレート屋根の調査と清掃を行い、その後防水シートを敷いて新しい屋根材を施工していきます。通常5日から10日程度で工事が完了するため、建物への負担も最小限に抑えることが可能です。
屋根カバー工法の基本的な知識や費用相場、事前に知っておくべきポイントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

スレート屋根カバー工法の費用相場
スレート屋根のカバー工法にかかる費用は、建物の条件や使用する材料によって大きく変動します。以下の3つのポイントから、具体的な費用相場を見ていきましょう。
予算計画を立てる際は、基本工事費に加えて発生し得る追加費用まで把握しておくことが重要です。
屋根面積別の費用相場
カバー工法の基本工事費は、1㎡あたり8,000〜10,000円が標準的な相場となります。一般的な戸建て住宅(30坪程度)の場合、屋根面積はおよそ100〜120㎡となるため、総額で100〜150万円程度の費用が必要でしょう。
この金額に加えて、足場代として15〜20万円ほどが必要となります。屋根の形状が複雑な場合や、建物の高さによっては足場代が上昇する可能性もあるため、見積もり時に確認することをおすすめします。
追加費用が発生するケース
既存屋根の状態によっては、予定外の追加費用が発生することがあります。下地の補強が必要な場合は1㎡あたり3,000〜5,000円、貫板の交換が必要な場合は1本あたり3,000円程度の費用が加算されます。
また、雨樋の劣化が見られる場合は交換を推奨しており、この場合10~15万円の追加費用が発生することも考えられます。事前の屋根点検で状態を把握し、必要な補修範囲を明確にしておくことが賢明です。
葺き替えとの費用比較
カバー工法は、葺き替え工事と比較すると30〜40%ほど費用を抑えることができます。特に2004年以前に施工されたアスベスト含有のスレート屋根の場合、葺き替え時には20〜25万円ほどの処分費用が必要となります。
一方、カバー工法では既存屋根を撤去しないため、この処分費用を回避できる点が大きな特徴です。ただし、将来的な葺き替えの際には、二重になった屋根材の撤去費用が必要となる点にも注意が必要でしょう。
屋根カバー工法の費用相場について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

スレート屋根カバー工法におすすめな屋根材
カバー工法で使用する屋根材は、重量と耐久性を考慮して選択する必要があります。以下では、代表的な屋根材とその特徴について解説していきます。
それぞれの特徴を理解し、建物の状態に適した屋根材を選びましょう。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、カバー工法において最も推奨される屋根材です。亜鉛とアルミニウム、シリコンによるメッキ処理により、従来の金属屋根の4倍以上の耐久性を実現しています。
特筆すべきは、1㎡あたり約5キロという軽さです。これはスレート屋根の約1/6程度の重量であり、建物への負担を最小限に抑えることができます。耐用年数は20〜30年と長く、メーカー保証も充実しているのが特徴です。
さらに、断熱材一体型の製品を選択することで、夏場の暑さ対策や冬場の暖房効率向上にも効果を発揮します。価格面でも比較的リーズナブルな選択肢といえます。
その他の金属屋根材
断熱材一体型のエスジーエル鋼板も、カバー工法の有力な選択肢です。従来のガルバリウム鋼板に比べて3倍超の耐久性を持ち、特に海岸地域での使用に適しています。
また、石粒付金属屋根材も人気があります。表面に石粒を付着させることで、従来の屋根に近い風合いを実現できる点が特徴的です。ただし、加工が難しく、施工方法が限定される傾向にあることは念頭に置いておく必要があるでしょう。
いずれの材料も、軽量性と耐久性を両立させており、カバー工法に適した選択肢となっています。工事を依頼する際は、建物の条件や予算に応じて、最適な材料を選択することが重要です。
スレート屋根カバー工法のメリット
カバー工法には、他の工事方法と比較して大きな利点があります。以下の3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
これらのメリットを理解することで、工事方法の選択がより明確になるはずです。
メリット1:工事費用を抑えられる
カバー工法の最大の魅力は、工事費用を大幅に抑えられる点です。葺き替え工事と比較すると、30〜40%ほど費用を削減できることが一般的です。
特に2004年以前に施工されたスレート屋根の場合、アスベストを含有している可能性が高く、葺き替え時には特別な処分が必要となります。カバー工法であれば、この高額な処分費用を回避できるのです。
さらに、既存の屋根を活かすことで、撤去費用や廃材処理費用も不要となります。このため、予算に制約がある場合でも、屋根の改修を実現できる可能性が高まるでしょう。
メリット2:工期が短い
工期の短さも、カバー工法の大きな利点といえます。一般的な戸建て住宅の場合、5〜10日程度で工事が完了するのが標準的です。これは、葺き替え工事の半分程度の期間となっています。
既存の屋根を撤去する必要がないため、粉塵や騒音も最小限に抑えられます。そのため、工事中も通常の生活を続けることができ、近隣への配慮も比較的容易です。
また、短期間で完了することで、天候不順による工期の延長リスクも低減できます。梅雨時期や台風シーズンなど、天候が不安定な時期でも、比較的安心して工事を進められるのです。
屋根カバー工法の期間について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

メリット3:断熱効果が向上する
既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねることで、自然と二重構造となり、断熱性能が向上します。特に断熱材一体型の屋根材を選択すれば、さらなる効果が期待できるでしょう。
この断熱効果により、夏場の小屋裏の温度上昇を抑制し、冬場の熱損失も軽減できます。その結果、空調効率が改善され、光熱費の削減にもつながる可能性があるのです。
また、二重構造による遮音効果も見逃せません。雨音が大幅に軽減され、より快適な住環境を実現できます。特に金属屋根材特有の雨音に対する不安を持つ方にとって、この効果は大きなメリットとなるはずです。
スレート屋根カバー工法のデメリット
カバー工法を検討する際は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。
以下の3つの重要な課題について詳しく解説していきます。
これらのデメリットを理解した上で、工事方法を選択することが重要です。
デメリット1:建物への負担が増加する
カバー工法では新しい屋根材を重ねるため、建物全体への負荷が必然的に増加します。金属屋根材を使用した場合、1㎡あたり約3〜5kg程度の重量が追加されることになります。
この重量増加は、建物の耐震性に影響を与える可能性があるのです。特に築年数が古い建物や、すでに構造的な弱点がある場合は注意が必要です。
さらに、豪雪地域では積雪による重量も考慮しなければなりません。このような地域では、事前に建物の構造強度を確認し、必要に応じて補強工事を検討しましょう。
デメリット2:既存の不具合が残る可能性がある
カバー工法は既存の屋根をそのまま活かすため、下地の腐食や劣化が見過ごされるリスクがあります。特に野地板の腐食や雨漏りの痕跡がある場合、その原因を特定できないまま新しい屋根材を重ねてしまう危険性があるのです。
このような状態で工事を進めると、問題が潜在化し、将来的により深刻な症状として現れる可能性があります。結果として、大規模な補修工事が必要になることも考えられるでしょう。
そのため、事前の入念な点検と診断が不可欠です。状況によっては、カバー工法ではなく葺き替え工事を選択する必要があるかもしれません。
デメリット3:火災保険の適用外となる
カバー工法による改修は、多くの場合、火災保険の補償対象外となります。これは、災害前の状態に戻すことを前提とした火災保険の性質上、既存の屋根を残したまま新しい屋根材を重ねる工法が、補償の対象として認められないためです。
特に台風や雪害による被害が発生した場合、保険金の支払いを受けられない可能性が高くなります。このリスクは、工事方法を選択する際の重要な判断材料となるでしょう。
また、将来的な保険料の見直しや、補償内容の変更が必要になることも考慮に入れておく必要があります。
屋根工事の火災保険について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

スレート屋根でカバー工法を行う際の注意点
カバー工法を安全に実施するためには、いくつかの重要な確認事項があります。
以下の3つの注意点について詳しく解説していきます。
これらの点を事前に確認することで、安全で効果的な工事が可能となります。
注意点1:屋根の重量制限を確認する
既存のスレート屋根に新しい屋根材を重ねる前に、建物が追加の重量に耐えられるか確認が必要です。一般的なスレート屋根は1㎡あたり約31kgの重さがあり、これに新しい屋根材の重量が加わることになります。
特に重要なのは、積雪地域での重量制限です。雪の重みも考慮に入れると、想定以上の荷重がかかる可能性があります。そのため、地域の積雪量や建物の構造に基づいた慎重な判断が求められるでしょう。
必要に応じて、建築士による構造計算や耐力診断を実施することをおすすめします。これにより、安全な工事の実現できます。
注意点2:建物の構造強度を調べる
建物の築年数や構造形式によって、カバー工法に適さないケースがあります。特に木造建築の場合、経年による構造材の劣化が懸念されるため、入念な調査が必要です。
重要なのは、柱や梁といった主要構造部材の状態確認です。これらに腐食や劣化が見られる場合、補強工事が必要となる可能性があります。また、過去の増改築の有無も確認すべきポイントとなるでしょう。
なお、昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた建物の場合、現代の耐震基準を満たしていない可能性があるため、特に慎重な判断が求められます。
注意点3:既存の雨漏り箇所を特定する
過去に雨漏りが発生した箇所や、現在も雨漏りの可能性がある部分は、カバー工法の前に必ず特定し、適切な対策を講じる必要があります。放置したまま新しい屋根材を重ねると、問題が深刻化する恐れがあるからです。
特に注意が必要なのは、屋根と壁の取り合い部分や、煙突まわり、棟部分といった雨水が集中しやすい箇所です。これらの部分は入念な点検が必要です。
また、小屋裏からの調査も重要で、雨シミや木材の変色といった雨漏りの痕跡がないかなど、しっかりと確認することが賢明です。
スレート屋根のカバー工法ならトベシンホームまで

項目 | 詳細 |
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会社名 | FCR株式会社(トベシンホーム) |
本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 Googleマップ |
電話番号 | 0120-685-126 |
営業時間 | 8:00〜20:00 年中無休 |
トベシンホームは、関東圏で豊富な屋根工事実績を誇る外装リフォームのスペシャリストです。千葉・埼玉・茨城の3県を拠点に、地域ごとの気象条件や建築特性を熟知したプロフェッショナルが、お客様の住まいに最適な屋根工事を実施してきました。
当社では、屋根診断から施工、アフターフォローまでを自社スタッフが一貫して担当することで、高品質な工事と適正価格の両立を実現しています。
特にカバー工法においては、建物の状態を見極めた上で、最適な屋根材と工法をご提示することができるのです。
最短即日での現地調査も承っておりますので、屋根の改修をお考えの際はお気軽にご相談ください。
まとめ
スレート屋根のカバー工法は、既存の屋根材を活かしながら新しい屋根に生まれ変わらせることができる、経済的で効率的な改修方法です。工事費用を抑えられることや工期が短いというメリットがある一方で、建物の状態によっては施工できないケースもあるでしょう。
重要なのは、建物の状態や予算に応じて、カバー工法が最適な選択肢かどうかを見極めることです。築年数や構造強度、既存の不具合の有無など、様々な要素を総合的に判断する必要があります。
工事を検討される際は、必ず専門家による事前調査を行い、建物に合った最適な改修方法を選択することをおすすめします。適切な判断と施工により、長く安心して使える屋根へと生まれ変わらせることができるのです。